このグループに属する人の精神エネルギーの量は、平均レベルを確実に上回ります。その上、心のどの分野のどこを取り上げても、平均レベルを下回る箇所はありません。それならば、どういう職業のどういう部署に身を置くことになっても、十二分にこなしていけるはずだと誰もが思うでしょうけれども、それがなかなかそうもいかないところが、職業適性の難しさであり、性格というものの面白さでもあります。
この人が人生のいろいろな課題を、うまくこなしきれない最大の要因は、物事に立ち向かっていくときの心のバランスの悪さにあります。「いざ勝負」というときにでも、心が賑やかすぎて目標を一点に集中できなかったり、雑音を気にし過ぎたり、両天秤を狙い過ぎたり、やる気と臆病風の板挟みになったりで、生き方全般に渡って融通性に欠けるのと、進んで物事を行う気持ちに乏しいのです。性格の一つ一つを取り上げてみると非常に良い部分をたくさん持ち合わせながら、全体としてのまとまった良さに今ひとつ欠けます。
この殻をうち破る唯一の方法は、「言いたい奴らは勝手に言え」という、世間一般に対する開き直りしかありません。

このグループの人は、人生の逆風に対して非常に臆病なのです。それゆえ、逆風が吹きそうな雲行きになると、抵抗の増しそうなところから次々と手を引いていくような生き方になってしまいます。これではひどいことにもならない代わりに、世の中へ一気に頭角を現したり、世間の賞賛を一身に浴びるなどという出来事は、半永久的に来ないことになります。
そういう生き方は決して当人たちの望んでいる方向では無いのですが、いろいろな心の分野のエネルギー量の多寡のバランス関係上、いやでも消極的な生き方にならざるをえないのです。もし仮に相当な社会的地位を占めるようなことにでもなった場合、このグループの人が受けるストレスの量は、想像を超えた大きなものになる可能性があります。うつ病や心身症に押し潰されてしまう可能性も少なくありません。
そういうことに端を発して失脚し、厭世観が増して家出蒸発などというケースも考えられないわけではありません。