その精神エネルギーの総量の高さは、驚嘆に値する人のグループですが、名声も地位も経済力も異性運もなどと、総花的な願望を持ち過ぎる傾向が強いために、人生の収支計算としては、意外なほど大した実入りにはならず、マイナスのまま終える生涯の損益計算書が出やすいグループでもあります。万能選手的な精神構造をしているために、何をやってもオリンピックの標準記録は出せても、メダル候補にはなかなかなれないのです。
また、会社においても役所においても、その人間関係が複雑に入り組みはじめると、その理性の高さにもかかわらず、このグループに属する人の最大の欠点である主体性の欠如のために、あれもこれも欲しがり、物事や人間関係の見切りや切り捨てが容易にできないのです。このグループの人にとって、目下の急務とすべきことは、考えれば考えるほど訳が分からなくなる八方美人的な処世術の会得などでは無く、物事に対して腹を据えて割り切っていく、禅修行的な悟りです。

このグループに属する人のように、総体的な精神エネルギーの高さとバランスの良さを持つ人には、滅多に逆風など吹かないのではないかと思われがちですが、必ずしもそうとはいえません。もちろん精神エネルギーの乏しい上に、性格のバランスも崩れっ放し、という人に比べれば、逆境に陥る可能性など極端に低くなりますし、ひとたび逆風が吹いたところで、援助の手を差し伸べてくれる人も決して少なくないはずです。
ただし、このグループに属する人が、いったん蒸発したいと思わせるような立場になった場合、もう誰の力をもってしても助けられないような種類のものだと思わなければなりません。なぜならエリートコースを歩いているようなタイプなので、「体面を汚す」ということは、全力を尽くして立ち向かっていた現在の生き方や立場に、一種の死刑宣告をされたのと、同じような意味を持つからです。